前回は吸い込まれるように美しく、深いグリーンのコーディネートでいらした。
トレードマークのブルーグリーンのアイシャドウ、
そして真っ赤なネイルに、ジュエリーも全て赤。
日本という枠を取り払い、
1ミリも感じさせる事なく、
比べることは私らしくないけれど、想像し易くするために、敢えて表現するならば
彼女のオーラは、普通ではない。
欧州にいても際立って目を惹くであろう。
ここは銀座。
やはりそこにはエレガントを伴った女性が集う。
それも素敵に歳を重ねた女性。
今日はゆっくりとお話する機会に恵まれ
75歳でいらっしゃることを知った。
素晴らしいと感銘を受け続けていた私に、
心を開いて下さったのか様々なお話をして下さった。
敢えて言葉にされなくともどれほど努力をされているか、努力という言葉が恥ずかしくなるほどに
その方には当たり前の生き方が、身体に染み渡っていて、
その美学がエネルギーで伝わる。
自然に圧倒されてしまう。
以前に出逢った別の女性。
オレンジレッドに染まったシルクのキャミソール。エレガントで繊細なレースを施した贅沢品とされるそのキャミソールを、ご主人と嬉しそうに選ばれたその情景が思い出される。
ブラック、オフホワイトと色がある中で
オレンジレッドは、今を楽しみたいから。
その理由で即決断された。
私ね、今を楽しみたいの。今を楽しみたいからオレンジにするわ。
そう仰り、
ジャケットのインナーとして、レースを少し魅せる着方をご主人にプレゼンしていた彼女は
80歳を迎える。
記憶に鮮明に刻まれる女性たち。
勝手な憶測に過ぎないけれど、
戦後の日本を懸命に立て直し、支えて来られた強く美しく素晴らしいこの2人の女性と私の美しい自慢の祖母も含め、
日本女性が目指すはここであろうと思う。
美しく生きることは誰にも遠慮をせずに生きること。大前提として精神が成熟していること。
履き違えてはならない。
美しさとは、誰に対しても遠慮はいらないが、他人への配慮や思いやりがあって成り立つものであること。
自戒をこめて。
二人のマダムへ敬意を表して。