2024/02/07

人生のバカンス


 人生には振り返ることが出来ない時もある。しばらく時間が経ってからようやく振り返ることが出来た時に、あの時が大きな転機だったのだと気が付く。

そんな転機を迎える前の記憶は抜け落ちていることも多いのに、転機を境に不思議と記憶は零れることなく私の中にある。


転機の前のグレーがかった、あの時間がなければここには辿り着けなかったから、それは決して無駄ではなく意味のあった時間ではあるけれど


そこから今を比較するには、まるで別人の人生を生きているような振り幅があり、コントラストが強く、でもとても美しくて、唯一無二といえるユニークさがあって、

その中心となった、私の人生におけるバカンスという時間について

ゆっくりと振り返りながら少しずつ綴っていきたいと思う。


そう、私は仕事のバカンスしか知らない人生を送っていた。

2024/01/26

Haute Couture

2年ほど前にしたためていた記事。下書きのままだったのだけれど思い出して更新することにしました。



 




上映最終日の前日。


まるで思い出してと言われたかのようなタイミングで目の前に映画情報が現れ、間に合う事ができた。


100分という短い時間の中で、若干の出来過ぎたようなストーリーはあったものの

それらを感じさせない、ハッと我に変える言葉の数々、シーンがあった。



お針子の給料について不平を述べた若いジャドに、エステルは

違う、そうではない、お金ではない、価値を生み出しているのよ、と言うようなことを言った。


費用対効果だとか、効率さだとか

世の中がそちらを向く中で


エステルの主張する、美を生み出すことの価値


お針子たちの揺るぎない美への追求


それらの想いが、ひと針ひと針に込められている、だからこそ芸術となる


自己矛盾なく、魂に忠実に生きる人々が携わるものが美しくないなど、あるわけが無い。